【全5回】強化学習の実践的設計——DQNの基礎からRLHFによるLLMチューニングまで
ChatGPT や Claude がなぜあれだけ「人間らしい」返答をするのか——その答えの一つが強化学習です。RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)という技術が大規模言語モデルの訓練の中核に組み込まれており、DQN や PPO といった古典的なRLアルゴリズムが現代のLLM開発と直結しています。
「RLHFを理解したい」と思ったとき、いきなり InstructGPT の論文に当たっても、強化学習の基礎がないと半分も読めません。逆に、DQN から丁寧に積み上げると、PPO がなぜ RLHF に採用されているかが自然と見えてきます。そういう「つながりが見える読み方」を意識して書いたのがこのシリーズです。
全5回のシリーズ 「強化学習の実践的設計」 を Zenn Books として公開しました。DQN・方策勾配法・PPO・オフラインRLと順を追って基礎を積み上げ、最終回でRLHFとLLMの最前線に到達する構成です。
https://zenn.dev/ai_paper/books/reinforcement-learning-rlhf
このシリーズの設計方針
前半3回(第1〜3回)は機械学習の基礎があればRLが未経験でも読めるように書きました。後半2回(第4〜5回)からはオフラインRLやDPO・RLVRなど研究寄りの内容に踏み込んでいます。
各回は独立して読めますが、第3回(PPO)を読んでから第5回(RLHF)を読むと、なぜPPOがLLMのファインチューニングに使われるのかがつながります。
目次
第1回|DQNとその進化——価値ベース深層強化学習の基礎論文を解説
MDP・Q学習から出発し、DQN の2つの工夫(Experience Replay・Target Network)を解説します。その上で Double DQN・Prioritized Experience Replay・Dueling Network という3つの改善手法を体系的に整理しました。「DQN は知っているが改善手法の違いが曖昧」という方にも整理になると思います。
第2回|方策勾配法——REINFORCEからActor-Criticまで、直接最適化の理論
「DQN は行動を値で評価する」から「方策を直接最適化する」への転換を丁寧に解説しています。REINFORCE の限界(高分散)から Advantage 関数・ベースラインという発想が生まれ、Actor-Critic へと至る流れを追っています。この回が第3回のPPO理解の土台になります。
第3回|PPOを基礎から理解する——なぜRLHFに使われるのか
TRPOの問題意識(更新が大きすぎると学習が壊れる)から出発し、それを実用的な形に落とし込んだ PPO の設計思想を解説しています。「なぜ RLHF のアルゴリズムとして PPO が選ばれたのか」という問いへの答えをこの回で示しています。第5回への直接的な橋渡し回です。
第4回|オフラインRL——過去データから方策を学ぶ
オンライン探索なしにバッチデータだけで学習するオフラインRLの世界を俯瞰しています。分布外行動(OOD)問題・CQL・IQL・Decision Transformer を横断的に整理し、後半では RLHF の報酬モデル学習や DPO への伏線も張っています。
第5回|RLHFとLLM——強化学習が大規模言語モデルを鍛える
InstructGPT から始まる RLHF の全体像を解説し、DPO・RLVR・DeepSeek-R1 まで最前線を俯瞰する集大成回です。第2回で学んだ Actor-Critic、第3回の PPO、第4回のオフラインRLがすべてここで登場します。
対象読者
| 読者層 | おすすめの回 |
|---|---|
| 機械学習の基礎はあるが RL は未経験〜基礎程度 | 第1〜3回 |
| RL の基礎はある、LLM 時代の RL の立ち位置を理解したい | 第4〜5回 |
| RLHF・DPO の仕組みを理解したい | 第3〜5回 |
SALT2 について
私が所属する SALT2 は、生成AI・予測モデル・最適化を組み合わせたオーダーメイドAIソリューションを提供するAIスタートアップです。需要予測・在庫最適化・AI Agent開発などを手がけており、2025年10月よりブーストコンサルティング株式会社のグループ会社となっています。
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